ご挨拶
日本環境変異原ゲノム学会(JEMS)第54回大会を、静岡県立大学(静岡市)において2025年11月22日(土)と23日(日)の2日間にわたり開催いたします。
本学会の前身である日本環境変異原学会は、1972年に結成され、公衆の健康に重大な影響を及ぼす変異原およびそれに関連する基礎研究の推進を目的に活動してまいりました。また、関連情報や技術の伝達にも注力し、その役割を果たしてきました。2021年には学会名を日本環境変異原ゲノム学会に改め、産・官・学のメンバーが率直に意見交換できる風土を受け継ぎながら、遺伝毒性物質の検出・同定・代謝・作用機序に関する研究の推進、標準試験法の確立、さらには食品添加物・農薬・環境汚染物質・医薬品・化粧品・労働安全にかかわる基準の策定や規制の実践・教育など、幅広い分野で貢献を続けています。
第54回大会のテーマは、「超長寿時代を見据えて-ゲノム変異と発がんの新知見-」といたしました。人生100年時代といわれる今日、健康に長生きするためには、“老化”を制御することが重要な鍵であると考えられています。これまで本学会が議論を深めてきた“ゲノム変異”の視点から考えると、老化は不可逆的な増殖停止状態であり、ゲノム変異細胞が増殖してがん化するのを防ぐ、極めて重要ながん抑制機構であるといえます。しかし一方で、このような老化細胞は、炎症を誘発したり、特定の条件下では増殖を再開しがん細胞へと変化する可能性も指摘されています。超長寿社会における健康維持を実現するうえで、老化と発がんの関係は本学会において議論すべき重要なテーマであると位置づけました。
このような考えに基づき、第54回大会では“老化”と“健康長寿”をキーワードに、議論を深めたいと思います。これまでの伝統を受け継ぎながらも、未来を見据えた新たな展開へと繋がるよう、特別講演やシンポジウムの企画を進めております。本大会が、新たな研究分野の開拓や研究体制の構築につながる貴重な機会となることを期待しています。
多くの方々のご参加を心よりお待ち申し上げます。
第54回大会
大会会長
伊吹 裕子
(静岡県立大学
食品栄養科学部)